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町政報告(令和2年3月)

印刷用ページを表示する 更新日:2020年4月13日更新

 

 

青野町長 町政報告

(令和2年3月)

 (はじめに)
 美咲町長の青野です。美咲町議会3月定例会が終わりましたので、新年度に向けて町民の皆様に町政報告、並びに今後の町政運営についての方針を申し述べさせていただきます。

 (合併から15年が経過)
 今から15年前の平成17年3月22日、旧中央町、旭町、柵原町の3町が合併し、美咲町が誕生しました。当時を振り返ると、周辺の自治体間で、様々な組み合わせで合併協議が行われた末の船出でした。多くの労力を費やしましたが、新しいまちをつくっていくという夢と希望にあふれていたと思います。旧町時代を含め、本町の発展、誕生に尽力されました多くの先人に改めて敬意と感謝を表したいと存じます。
 しかし、この15年間の歩みを振り返ると、当時は想像もできなかったペースで少子高齢化、過疎化、人口減少が進んでおり、本町の存立の基盤を揺るがしかねない事態となっています。この危機に立ち向かっていくためには、進むべき方向性を明確にした上で、計画的にまちづくりを進めていく必要があります。

 (新町建設計画)
 その道しるべとなるものが、新町建設計画です。
 この計画は、旧市町村合併特例法第5条に定められた「合併市町村の建設に関する基本的な計画」であり、平成16年11月に久米郡地域合併協議会で策定されました。
 合併後の美咲町のまちづくりに関するビジョンを示し、本町が一体的なまちとなり、住民の暮らしが向上し、かつ、町全体が均しく発展することをめざした、いわば本町のマスタープランとしての役割を果たすものです。
 合併10年目の平成27年度に、「東日本大震災等に伴う合併市町村に係る地方債の特例に関する法律」が一部改正されことに伴い、計画有効期間を5年間延長するという変更を行いましたが、基本的なまちづくりの方向性は合併当時のままです。そして、その計画有効期限は、この3月31日とされています。
 しかし、合併から今日までの15年の間に、まちを取り巻く社会情勢は、超高齢社会の到来と人口減少、高度情報通信社会の到来、地球規模の環境問題、地方分権の進展など、目まぐるしく変革してきています。
 中でも、合併当時の想定を大きく超える少子高齢化の進行と人口減少は、地域経済の低迷、税収の減少や社会保障費の増大、地域コミュニティ機能の低下など、様々な形で負の連鎖となって、地域の活力に大きな影響を及ぼしています。
 このような厳しい時代の中にあっても、複雑かつ多様化する地域課題や住民ニーズに的確に対応するためには、時代の流れやみらい(将来)を見据え、目指すべきみらい(将来)像やまちづくりの方向性をもう一度、明確にしたうえで、必要な施策にスピード感をもって取り組むことが必要です。
 そのため、新町建設計画の内容を大幅に見直すとともに、有効期間を令和6年度末まで5年間延長したいと考えています。

 (第三次振興計画)
 関連して、第三次振興計画について申し上げます。
 この計画については、これまで町が実施してきた施策を点検、継承するとともに、住民、地域、議会、行政がまちづくりの目標を共有し、「人口維持・歳入維持を前提としたこれまでのまちづくり」から、「人口減少・歳入縮小時代を見据えた新しいまちづくり」への転換を図り、持続可能なまちづくりを協働で進めていくために、令和2年度からの5年間の方向を示すものです。また、第二期のみさき創生総合戦略として位置付けるものでもあります。
 本町の未来像として「ひと 輝くまち みさき」を掲げ、その実現のため、三つの基本方針を定めます。
 基本方針の一つ目が「住民が主役の協働のまちづくり」です。
 まちづくりの主役は、本町で多様な生活や活動を行う全ての人です。性別や年齢にかかわらず、だれもが意欲を持って自らの能力を発揮でき、地域の中で必要とされていると実感できることが大切です。
 そのため、住民一人ひとりの個性と能力を多様な形で活かし、地域の課題を自ら克服することができる仕組み、「みんなで、ささえあって、きょうりょくする」協働のまちづくりを進めます。

 基本方針の二つ目は「地域の特性を活かしたまちづくり」です。
 これまでのまちづくりの中で育んできた地域資源や個性をあらためて評価し、磨きをかけ、活用していきます。
 そして、住民のだれもが「生まれて良かった」、「住んで良かった」、「これからも住み続けたい」と実感できる、人にやさしいまち、心豊かに笑顔で暮らすことができるまち、安全・安心なまちづくりを進めます。

 基本方針の三つ目は「みらいにつなげる持続可能なまちづくり」です。
 厳しい財政状況のもとで、限られた経営資源を効率的・効果的に活用していくことが重要です。
 そのため、事業の「選択と集中」、公共施設マネジメントや民間活力の導入を推し進め、「賢く収縮」しながら、みらいに負担を残さないよう、持続可能なまちづくりを進めます。
 目標達成のための具体的な施策については、現状で考えられうるものを掲げ、目標値を設定した上で、その実現に取り組んでいくこととしています。

 以上が新町建設計画及び第三次振興計画の要点です。

 (令和2年度当初予算について)
 これらの計画に盛り込んだ事業を着実に実行するためには、裏付けとなる予算が欠かせません。
 しかし、町の財政を取り巻く現状は、大幅な税収回復の兆しはなく、自主財源の増加は見込めない状況にあり、引き続き厳しい状況が予想されます。また、令和2年度からは、地方交付税のいわゆる水増し部分である合併算定替が終了するため、歳入の減少が見込まれる一方、会計年度任用職員制度の創設により人件費の増加が想定されるところであり、財源不足が一段と進むことを念頭に置いた財政運営が必要になります。
 令和2年度は第三次振興計画の初年度となります。計画をスタートさせる予算として、必要性、緊急性を考慮しながら事業を厳選し、選択と集中を徹底した予算編成を行いました。
 予算規模は、加美小学校大規模改修事業の本格化、柵原地域義務教育学校の建設が始まることにより、一般会計が前年度比約9億4千万円増の109億9200万円余となっています。

 (行財政改革)
 ただいま申し上げましたとおり、厳しい財政状況の中にあっても、みらいに負担を残さず、持続可能なまちづくりを行っていくことが急務です。しかし、本町においては、平成21年度以降、行財政改革大綱の策定が行われていません。今後、人口減少が進むことを踏まえると、町の経営はさらに厳しい状況となります。安定的な町の経営を実現するため早急に行財政改革大綱の策定を行います。また、事務事業評価に取り組み、事業の仕分けを行っていきます。

(公共施設の再整備について)
 行財政改革を行う上で特に重要な論点となるのが公共施設の取扱いです。維持・管理、更新に莫大な経費を要することから、人口動態や財政状況を考慮すると、町ではこれからの約30年間で4割程度削減していくことが求められています。
 現在、公共施設個別管理計画の策定を進めています。おおむね、各施設の点検を終えており、今後、点検結果や利用の状況をまとめた施設カルテを作成していきます。また、同時並行で既に老朽化・遊休化している施設については、順次除却するとともに、跡地や有休施設のうち売却可能なものは売却し、歳入の確保に努めてまいります。

 来年度の計画としては、大垪和ひとり暮らし老人共同生活支援施設「友愛荘」及び旧大垪和診療所を除却するとともに、北部町民グラウンドを廃止します。
 「友愛荘」は、昨年、台風の被害を受け、屋根に設置していた天日温水施設が落下し、屋根も破損している状態です。修繕等を検討しましたが、近年使用が1~2件であること、本施設がなくても他事業によりひとり暮らし高齢者への対応が可能であること、近隣にも集会所があることなどから、解体することを決定し、解体費を当初予算に計上しています。
 北部町民グラウンドについては、近隣のエイコンパークと機能が重複していることや、民間事業者からの問い合わせが多くあり工場などの進出が見込めることから、売却を前提に廃止しました。

 続いて、香花温泉「ほほえみの湯」の廃止方針について御説明します。同施設については12月定例会において、年間約2,000万円にも上る赤字や頻発する設備の故障、今後の施設更新に数千万円を要するといった管理運営上の問題から、今年度末をもって廃止する方針を表明ました。
 その後、その方針について色々と御意見をいただき、去る2月12日の説明会には多くの方々から存続のお願いをお聞きしました。利用されておられる皆様のお気持ちを考えると心苦しい限りです。
 しかし、今年度で交付税の合併算定替が終了し、中長期的にも人口減少により歳入の減少が見込まれる中、加美小学校の大規模改修や柵原地域義務教育学校の建設、旭地域の拠点整備といった大きな事業により歳出規模は拡大しており、町の財政は大変厳しい状況にあります。
 「ほほえみの湯」については、平成26年以降、庁内関係部署で存廃を検討してきており、民間事業者も募集しましたが手が挙がらず、こうした状況については議会にも報告してきたところです。
 こういった状況を総合的に勘案すると、指定管理期間が終了する今年度末をもって閉館・廃止とせざるを得ないと判断しました。跡地については、現在飽和状態にある保育園児のための場所、子育て支援センター、小学生の放課後の居場所づくりといったものへの活用を検討しています。
 長年御利用いただいた皆様には大変申し訳なく思っておりますが、町の将来を考え、御理解を賜りますようお願い申し上げます。

 他方で、各地域において、拠点となる施設の整備を進めていきます。
 旭地域については、「子どもから高齢者、障がいのある人まで行ってみたくなる場所」をテーマに、1年余りにわたり、「あさひみらいデザイン会議(住民座談会)」を開催してきました。その中でいただいた、さまざまなご意見やご提案から、旭総合支所、西川商店街、三休公園のある西川エリアを、楽しい、癒やされる、興味を惹く、知識が得られる、貴重な体験ができる、自己実現ができる、地域内外の人々に出会え、交流が生まれる小さな社会・経済の芽を育む拠点として位置づけます。
 また、老朽化が進んでいる旭総合支所と旭町民センターを行政や社会教育、子育て支援、商業などの各種サービスを集約した複合施設として整備することが望まれていることが確認できました。
 2月からは「旭みらいデザイン検討委員会」を設置し、これまでにいただいた御意見や御提案を活かしながら、旭総合支所、西川商店街、三休公園を中心とした西川エリアについて多角的な御検討をお願いしています。検討委員会で提言が取りまとめられ次第、整備基本計画に反映し、事業を推進してまいります。


 中央地域においては、本庁舎の在り方について検討を行います。
 役場本庁舎は、昭和49年11月に建設され築45年が経過しており、施設・設備の老朽化や狭隘化、庁舎の分散、ユニバーサルデザイン・バリアフリーへの対応不足などによる利便性の低さ、維持管理費の増大の見込みなど、様々な課題を抱えています。また、防災上も情報を一元的に集約できるオペレーションルームがなく、非常用自家発電設備が3時間しか持たないなど、問題を抱えています。
 そのため、万が一の大規模災害の発生を見据え、災害時に町民を守る防災拠点として十分な機能を備えるとともに、分散している行政機能を集約し、利便性と快適性を兼ね備えた庁舎を建設することが必要であると考えています。
 また、庁舎の整備にあたっては、通常は、国の財源支援がなく、町単独の負担となるため、合併特例債を活用できる令和6年度までに整備することで、将来の財政規模の縮小に備えます。
 時間的な猶予がないことから、可及的速やかに目指すべき新庁舎の在り方を示す基本構想の検討に着手します。新庁舎を中心に、魅力的で利便性が高く、にぎわいがあり、持続可能でコンパクトなまちづくりについても検討を進めます。

 また、旧厚生小学校跡地については、「社会福祉法人中央福祉会 白寿荘」から敷地全体の譲渡の要望があったところです。敷地内には、中央公民館と中央図書館が含まれることから、住民の皆様のお考えを伺うべく、中央地域の各地区で意見交換会を開催したところ、様々な御意見をいただきました。重要な生涯学習施設であることや中央地域のまちづくりにも密接に関連することから、今後、慎重に結論を導いていきたいと考えています。

 (小規模多機能自治の推進について)
 規模多機能自治の実現に向けて、地域での取組や動きが少しずつですが始まっています。
 加美まちづくり協議会から「小規模多機能自治勉強会」を開催したいとの申し出があり、1月30日に開催されました。地域みらい課とともに私も参加し、小規模多機能自治への理解を深めていただくとともに意見交換を行いました。
 2月8日には、13の協働のまちづくり協議会の関係者や行政・社会福祉協議会の職員、NPOの研究員など100人以上が集まり、小規模多機能自治による地域づくりを勉強するとともに、各協議会の取り組みを披露する「まちづくり意見交換会」を開催し、各協議会の親交も深めたところです。
 また、最も先進的な取組としては、倭文西まちづくり協議会役員の方が、何度も集まり、自分たちで設問を考え、配布、回収まで行った「アンケート調査」があります。この手作りのアンケート調査は、地域生活、地域活動、地域づくりなどを中心とした、これからの倭文西地域の未来や課題解決の指針にするためのものです。アンケート調査の集計・分析も既に終わり、3月には地域住民で報告会が開催されたと伺っています。倭文西まちづくり協議会では、「自ら考え、決定し、実行する」これからの地域自治の構築に向けて、積極的に取り組まれており、行政側も大いに刺激を受けているところです。どうか、私たち行政、役場に、お気軽にお声掛けください。地域に出向き、地域の皆様と一緒に、小規模多機能自治による地域づくりを推進してまいりたいと考えています。

 (教育について)
 地域のコミュニティとともに、まちづくりにおいて大きな影響を与えるもの、それが学校教育です。美咲町では今後、小中一貫教育を推進していきます。町内の全小中学校を中央地域、旭地域、柵原地域の地域ごとに、令和2年4月から「小中一貫教育校」として指定します。小学校6年間と中学校3年間の9年間の学びを見通し、小学校と中学校の先生が力を合わせ、一貫性のある教育を行うことが目的です。また、地域の良さを活かした学習内容や、子どもたちに合わせた学習方法を研究し、地域の拠点として地域創生を目指します。

 次に、柵原地域義務教育学校の建設について、進捗状況を御報告します。去る1月16日の臨時会で書副地区のライスセンター付近を建設候補地として発表させていただきました。現在、用地買収に向けて土地などの鑑定作業を行うとともに、地権者や地元自治会への説明を終えたところです。当初予算には、用地購入費、測量委託料、造成工事費等の関連予算を計上しています。2月には、教育長、教育委員の方々と一緒に高知市立義務教育学校「土佐山学舎」という学校を視察してまいりました。高知市街から北に車で約30分の山あいにある学校です。英語教育、地域学習に力を入れられており、非常に素晴らしい学校でした。6年生の英語の授業で、子どもたちが私たちにそれぞれ、英語で質問をし、コミュニケーションを積極的にとろうとする姿、9年生が地元の「ゆず」を商品化しようと地域、企業に働きかける姿、また子どもたちが主体的に動ける環境づくりへの校長先生を始めとした学校関係者の熱い想い、などに深く感銘を受けました。新しい学校が、子どもたちにとって、柵原地域、美咲町において誇れる学校にするべく、決意を新たにしたところです。今後、土佐山学舎の校長を柵原に招き、講演会を開催する予定です。

 次に、加美小学校の大規模改修事業の進捗について申し上げます。現在、グラウンドの一画に仮設校舎を建設しています。春休み中に教室棟から仮設校舎への引っ越し作業を行い、その後、教室棟の改修工事に取り掛かります。保護者の皆様、学校関係者の方々には、引っ越し作業等への御協力をお願いすることになりますが、子どもたちのためによろしくお願いいたします。
 全体的な子育て関連の施策としては、令和2年度から令和6年度までの5年間を計画期間とする「第2期美咲町子ども・子育て支援事業計画」を近く策定します。この計画に基づき、就学前の保育及び教育を適切に提供できる体制の整備、放課後の居場所づくりなど、妊娠、出産から学童期に至るまでの総合的な子育て支援を一層充実させてまいります。

 (生涯学習について)
 教育の面では、生涯学習の充実も欠かすことができません。
 生涯学習の目的は、人と人との繋がりを大切にし、次世代への人材を育成するとともに、町民みなが生涯を通じて学び、成長し、豊かな人生を送っていくことにあります。社会教育、スポーツ、文化活動等の振興施策を盛り込んだ「美咲町生涯学習推進計画」を策定し、幼児から高齢者までの学習環境を総合的に整備・充実させ、学習活動を支援していきます。
 環境整備の面では、念願であった柵原総合グラウンドの災害復旧工事が完了しました。柵原総合グラウンドは、平成30年7月豪雨災害の際、谷間のグラウンド肩が崩落し、土砂が町道2路線を越えて吉井川まで達するという大きな被害を受けました。柵原中学校の生徒の皆さんをはじめ、地域の皆様には多大な御不便をおかけしていましたが、復旧したグラウンドを有効に活用いただければ幸いです。
 スポーツ関係のイベントでは、2月16日に第9回美咲チャレンジ・ロードレース大会が開催され、400人を超える多くの参加がありました。当日は、雨模様の天候でしたが、実行委員やボランティアスタッフの皆様の協力の下に盛大に行われました。私も駅伝一般男子の部アンカーで出場させていただき、沿道の皆様からたくさんの声援を受けながら、無事にゴールテープを切ることができました。また、いろいろな場面で多くの方の笑顔がみられ人と人とのつながりが広がっていくことが感じられました。こうしたスポーツ大会や各種の体育行事への参加を通じて、町民皆さま方の触れ合いや健康づくりにつながることを期待しています。地域住民が和やかに気持ちよく暮らしていくには、スポーツで汗を流すことと同時に笑顔で親しくあいさつを交わすことも大切です。
 4月から「美咲町民 笑顔であいさつ運動」を展開し、学校を始め、公共施設、各職場を中心として、町全域での取組を行います。あいさつをテーマにしたスローガン・作文・啓発ポスターの募集、企業や商工会等の各種団体、学校などのあいさつ推進団体を募集するなど、町民みんながコミュニケーションの元となる「あいさつ」を交わし、笑顔あふれるまちづくりを進めてまいります。

 (福祉、医療、保険について)
 次に福祉、医療、保険についてです。この分野については、「子どもから高齢者までの多世代、そして様々なハンディキャップをお持ちの方が、お互いに支え合い活き活きと健康に暮らしていけるよう、各種施策を推進していきます。

 日常の医療の確保について、充実を図ります。昨年4月に開業した美咲町西川診療所について、今年度は、火曜日、木曜日、金曜日の午前中診療していますが、指定管理者である社会医療法人緑壮会金田病院との協議により、来年度より月曜日の午前も診療を行い、週4日の診療体制となります。
 福祉については新年度、新たに地域福祉計画の策定に取り組みます。地域福祉計画は、地域福祉推進の主体である地域住民などの参加を得て、地域生活課題を明らかにするとともに、その解決のために必要となる施策の内容や量、体制等について庁内関係部局はもとより、多様な関係機関や専門職も含めて協議の上、目標を設定し、計画的に整備していくことを内容とするものです。また、「地域における高齢者の福祉、障がい者の福祉、児童の福祉その他の福祉の各分野における共通的な事項」を記載する、いわゆる「上位計画」に位置付けられます。第三次振興計画や美咲町社会福祉協議会が策定をしている「第二期美咲町地域福祉活動計画」とも連携を図りながら、策定を進めます。
 関連して、介護分野では、令和3年度から令和5年度までの3か年を計画期間とする「美咲町高齢者保健福祉計画・第8期介護保険事業計画」を策定します。本計画に基づき、日常生活支援総合事業や認知症対策などの高齢者福祉施策の充実や、介護保険制度における、給付と負担のバランスを考慮しながら、給付の適正化を図り、将来にわたり安定した運営がなされるように努めてまいります。介護において、特に手厚い対応が必要となるのが認知症です。認知症になっても住み慣れた地域で生活していけるよう、社会福祉協議会と連携しつつ、認知症カフェの開催、認知症サポーター養成講座、認知症見守り声かけ模擬訓練の開催といった各種事業を引き続き実施していきます。

 障がいをお持ちの方への取組としては、手話言語条例が制定されました。手話言語条例は平成13年に鳥取県が全国で初めて制定し、岡山県でも7市1町※が制定をしています。※ 制定市町(高梁市、玉野市、岡山市、瀬戸内市、井原市、笠岡市、浅口市、里庄町)
 本町としても手話を言語と認め手話が日常で使え、ろう者とろう者以外の方が共生できる社会を目指して取組を進めてまいりたいと考えています。当初予算には、手話通訳士の手配に掛かる経費を盛り込んでおり、今後、みさきテレビ、広報なども活用し手話への周知、理解を促進していきます。あわせて、職員に手話への理解を促し、将来的には手話で窓口対応などができればと考えています。すでに一部の部署では朝礼の際、町民憲章の斉唱に手話を取り入れています。町民の皆様、議員各位におかれましても手話への一層の理解を進めていただきますようお願いいたします。
 施策の実施体制についても見直しを行います。令和2年度から、福祉事務所所管であった児童虐待防止事業と家庭児童相談室に関する事務を健康推進課に移管し、保健師を集約することで、ワンストップの支援が行える体制づくりを行います。また、家庭児童相談室を設置することで、子育て世代包括支援センターの設置を推進してまいります。

 (防災・減災対策について)
 近年は異常気象により多発するゲリラ豪雨、巨大化し猛威を振るう台風、東日本大震災をはじめとする大地震の発生など、私たちの災害に対する意識は以前とは大きく変わっています。災害から身を守るためには、日頃から家庭や地域で、災害に対する認識を高めておくことが重要です。
 昨年9月には合併以来、初めて全町的な防災訓練を実施しましたが、今年も9月6日(日曜日)に行うように計画し、現在内容を検討しています。昨年より多くの自主防災組織に参加していただけますよう呼びかけを行い、防災意識の高揚に努めてまいります。また、防災の要である消防力、消防団についても増強を図っていきます。
 具体的には、小型動力ポンプ付積載車を2台更新するとともに、防火水槽の整備、さらに水出し操法練習場を太陽の広場駐車場に整備し、消防訓練の場として供用する予定です。他方、防災上重要な問題を抱えているのが、ため池です。平成30年7月豪雨災害を踏まえ見直しを行った結果、防災重点ため池は本町で9カ所から32カ所と大幅に増加しました。国は、3か年緊急対策により、ため池の防災・減災対策を重点的に推進しているところです。本町としても、県と連携しながらソフト・ハード両面から集中的かつ計画的に対策を進めてまいります。

  (農林業振興について)
 続いて、農林業振興について申し上げます。農林業は本町の基幹産業であり、その保護、育成、振興は大変重要です。しかし、近年、少子高齢化等により農業離れが進み、耕作放棄地が深刻な問題となっています。昨年から、ショウガなどの農業振興作物の種苗に対する補助制度を開始しています。この制度は農地保全と産地形成に取り組んでおられる頑張る農家を育成するものですので、積極的に制度を活用していただきたいと思います。また、耕作放棄地と同じく、鳥獣による農作物被害も深刻な状況となっています。対策として、柵などによる防護と並行して、捕獲・駆除にも力を入れているところです。令和2年度から、駆除班員の確保のため、狩猟免許の更新に対しても経費の一部、5,000円を補助します。また、「箱わな」についても昨年と同規模の20基程度貸与数を確保し設置を進めてまいります。
 加えて、森林の保全も重要な課題です。本町の面積の7割は森林が占めていますが、昨年4月から森林経営管理法が施行されたことにより森林所有者の経営管理の責務が明確化され、管理が義務付けられました。
 しかし、木材単価が安く、適時の森林管理が行われていない現状があります。適切な森林管理を促進するべく「美しい森林づくり基盤整備事業」や、「間伐材搬出促進事業」を継続するなど、より良い森林管理ができるよう進めてまいります。

  (観光振興について)
 稼げるまちに生まれ変わっていくため、農林業とともに観光にも力を入れていきます。
 本町には観光協会がなく、これまで担当課の日々の業務の中で対応を行ってきました。しかし、観光資源やイベント情報、特産品の販路開拓、消費者が求める新鮮な情報提供への対応など、取り組むべき課題は多く、加えて地域間の競争も熱を帯びてきています。こういった諸課題に戦略的に取り組むためにも、観光地経営組織、いわゆるDMOを立ち上げます。株式会社美咲物産を母体として考えており、令和2年度中にDMO候補法人として登録できるよう、調整を進めていきます。

 (関係人口の創出について)
 観光振興とともに、関係人口の創出にも取り組みます。
 「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のことを指します。地域によっては若者を中心に、変化を生み出す人材が地域に入り始めており、「関係人口」と呼ばれる地域外の人材が地域づくりの担い手となることが期待されています。

 手始めとして、大阪府岬町と友好交流都市協定を締結するべく、準備を進めています。ある生命保険会社の調べによると、平成に生まれた女性で一番多かった名前が本町の名前と同じ「美咲」ということでした。そこで、これを活かした町おこしのアイデアを職員から募ったところ、同じ町の読み方である大阪府岬町との交流を進めたいとの声が複数あったところです。実は、全国に「みさきちょう」と読む自治体は、大阪府岬町と本町の二つしかありません。
 大阪府岬町は、大阪府と和歌山県との境に位置し、人口約1万5千人で漁業やマリンレジャーが盛んな町です。人口規模は本町とほぼ同じですが、海の町と山の町という点で対照的な立地条件となっています。
 先日、正副議長とともに、私も訪問させていただきましたところ、先方の田代町長、奥野議長にも歓迎していただき、前向きに進めていくという方向性が確認できました。車で4時間と、日帰りでも行き来可能な距離であり、防災、教育、観光、農林漁業など、様々な面でお互いの強みを活かした交流が可能であると考えています。合併15周年事業として、来年度から交流事業が開始できるよう検討を進めています。子どもから高齢者までの幅広い世代での交流を期待しているところです。
 また、大学生のフィールドワークなども積極的に支援し、本町に関わりを持つ若者を増やしていきます。
すでに地元では岡山大学やノートルダム清心女子大学、遠くは早稲田大学や阪南大学の学生の皆さんが、地域課題解決、地域活性化、観光振興、無形民俗文化財の継承などをテーマに各地域に入って、調査研究や交流を行っていただいています。そして来年度は、岡山県出身の東京大学の学生と同様の取組を進めていくとともに、地域創生学部を擁する東京の大正大学と広域地域自治体連携を結ぶ予定です。今後も県内外の大学と連携しながら、地域の活性化に取り組んでいきます。

  (美咲町水道事業会計予算について)
 次に水道事業に導入される新制度について御説明します。
 4月1日から美咲町の水道事業は地方公営企業法の財務規定等を適用し、これまでの官庁会計方式から公営企業会計の予算に移行します。
 特徴として、公営企業会計では収益的収支予算、資本的収支予算として区分しています。
 収益的収支とは、営業に関わる活動に伴い、年度内に見込まれる収益と、それに対応する費用をいいます。また減価償却費のように、現金支出を伴わない支出についても費用に含まれています。資本的収支とは、営業活動以外における資本の増減の現金収支を伴うものです。長期にわたって使用する施設や管路などの整備費用とそれに対する収入を資本的収支として経理します。損益取引と資本取引に区分して経理することにより、経営状況を正確に把握することができるようになります。その分析等を通じて、資産管理をはじめとする中長期的な経営計画の策定に役立てるよう取り組んでまいります。

  (町民生活関係)
 ここからは、日々の町民の皆様の生活に密接に関連している事柄について、御説明いたします。
 窓口サービスの利便性の向上を目的に、マイナンバーカードを使用しての住民票等のコンビニ交付サービスを2月4日から開始しました。私もサービス開始初日に町内のコンビエンスストアで交付サービスを利用し、印鑑証明書を取得しました。多機能端末機の画面の説明に沿って操作し、簡単に取得することができました。

 繰り返しの御案内となりますが、このコンビニ交付サービスは、マイナンバーカードを持っている方なら、多機能端末機を設置している全国のコンビニエンスストアで、午前6時30分から午後11時までの間、休日においても、御本人の住民票、印鑑証明書、所得課税証明書を取得できるものです。令和3年度末までは、窓口での手数料から50円引きの1通150円で証明書を取得することができます。今後、マイナンバーカードを利用してのポイント還元や健康保険証としての利用も予定されています。町民の皆様には積極的な取得をお願いします。

 生活環境に関する面では、引き続き、新聞紙や空缶、古布など資源ごみの集団回収推進団体への奨励金交付、家庭から出る生ごみをたい肥にする生ごみ処理容器の購入補助を実施してまいります。制度を積極的に御活用いただき資源ごみの再資源化、可燃ごみの減量化に御協力をお願いします。
 次に、交通災害共済事業の廃止について御説明します。本制度は昭和44年に開始された事業で、交通事故による被害を受けた方を救済し、住民生活の安定と福祉の増進を図るために実施されてきました。しかし、民間の保険制度が普及、充実してきたこと、個人情報の取扱いの難しさや社会情勢の変化により、加入推進を行っていただく地域の方々への負担が大きくなっていること、また、加入者が減少していることなどから、令和2年度からの加入募集を中止し、事業を廃止することとしました。見舞金の請求につきましては、令和元年度に制度に加入されている会員の方が本年3月31日までに事故に遭われた場合は、令和4年3月31日までの間は見舞金を請求していただくことができます。長年にわたり御加入いただいた会員の皆様、加入推進に御尽力いただきました皆様に深く感謝申し上げます。

来年度、事業最終年度を迎えるみさきネット更新事業については、現在、みさきケーブルテレビのデータ放送設備の老朽化により、おくやみのお知らせを休止しています。皆様には大変御不便をおかけしておりますが、4月1日にはリニューアルして、おくやみ放送、防災カメラの画像や町からのお知らせなどを、データ放送から発信する予定です。また、告知放送の有線FM放送についても4月1日から本格実施する予定です。こちらも併せて御利用いただければと思います。

  (岡山県知事通常選挙について)
 今年秋には、11月11日に任期満了を迎える岡山県知事通常選挙が執行される予定です。
 今回の選挙は、告示から17日間という最も長い選挙期間となります。
 昨年の11月、美咲町選挙管理委員会より、投票機会の確保、公平性の確保の観点から、次回執行の選挙以降、各総合支所における期日前投票期間の短縮は行わず、全ての期日前投票所において、公示あるいは告示の翌日から行うという趣旨の発表がありました。次回の選挙からは、各総合支所でも、本庁と同様に期日前投票ができますので、よろしくお願いいたします。

 (職員のスキルアップ)
 役場の存在意義は「町民の幸せのために自ら学び、考え、そして行動する」ことにあります。職員には、研修などを通じて能力の向上を促すとともに、現場に出て住民との対話をしっかりと行うよう指導してまいりたいと思います。

(終わりに)
 一住民には不安もあるかも知れないが、今まで培ってきた経験を生かし、美咲町の職員としての自覚を新たに、一致団結して、皆さんの努力で信頼を築いてほしい。そして美咲町を大きく飛躍させよう  これは、私の父、美咲町誕生時の町長職務執行者である青野義昭が、合併の日の開庁式で述べた挨拶です。まずは、職員から一致団結し、新しい町の礎を築いていこうという気概を示したものであると思います。
 合併から早15年。いつしか、時代は平成から令和に移り変わり、経済社会情勢の変化のスピードも加速度的に増す中、人口減少が著しく、活力も低下しつつある本町は、残念ながら、大きく飛躍したとは言い難い状況です。そして、もはや役場の力だけではどうにもならない問題が山積しているのも事実です。 合併から15年を迎え、私があらためて皆様に訴えたいことは、職員のみならず、議会、住民の皆様とも一致団結の下、進むべき方向をしっかりと見定め、この町のかたちに関わる大きな変革を進めていくべきであるということです。

 岡山県の真ん中で、小さくてもきらりと輝く美咲町、「ひと 輝くまち みさき」を、今日ここから、ともに力を合わせ創り上げていこうではありませんか。 御清聴ありがとうございました。

 

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