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青野町長 所信表明演説(平成30年12月定例会)

印刷用ページを表示する 更新日:2018年12月19日更新

 

 

青野町長 所信表明演説

(平成30年12月14日)

 

(町長就任に当たって)

このたび9日付けで美咲町長に就任いたしました青野高陽でございます。本日は美咲町議会12月定例会を招集いたしましたところ、師走の大変忙しい中、ご参集をいただきましてありがとうございます。私にとりましては初の本会議でありますので、所信を述べさせていただきます。

まずは今回の町長選に当たり、当選の栄を賜り、厚く御礼申し上げます。町民、議会、職員の皆さんには県議会議員として12年間大変お世話になり、ありがとうございました。

出馬を表明してから2週間しかなく、立候補まで県議会議員を務めていたことや選挙戦も無投票ということになり、多くの方に県議を辞職し、町長選へ出馬をした理由、さらには町政に対する思いを説明する機会がありませんでしたので、まずはこの機会をお借りし、ご説明させていただきます。

このたびの前町長の辞職に伴う町長選につきましては、多くの方から出馬要請をいただきました。しかし、来春の県議会議員の改選を控え、まだまだ県議として久米郡、そして岡山県の発展のため尽くしていきたいという意思を持っていましたので、一貫してお断りをし続けていました。

それでもなお美咲町の抱える多くの課題と町の将来を心配する声をうかがい続ける中で、熟慮に熟慮を重ねるようになりました。

美咲町は、はたから見ればどこにでもあるただの田舎町かもしれませんが、私にとってはかけがえのない古里であります。この古里が厳しい状況に置かれているとき、このまま目をそむけ、これから県議として当選回数とポストだけを重ねていくことは、政治家としてあるべき姿なのだろうか、自分だけの思いで県議を続けることは、自分がこれまで主張してきたことと反しているのではないだろうかと、自問自答を重ねました。

最後は13年前、当時務めていた新聞社を辞め、なぜ政治の道を志したのかという原点に立ち返り、ただその1点で決断をいたしました。

私の好きな言葉は「宿命に生まれ 運命に挑み 使命に燃える」であります。古里の窮状を立て直そうとしない者に政治家としての価値はありません。

私なりに県議として描いていた道はありましたが、これからは自分が描く理想の古里づくりに変え、新たな挑戦を始めます。

もとより浅学非才の若輩者、未熟者ではありますが、美咲町に対する大きな可能性と大きな危機感を胸に、まちの再生に取り組みます。

 

(本町を取り巻く現状)

さて、平成17年に旧3町が合併して誕生した美咲町も、早14年が経過しようとしています。この間、人口減少に歯止めがかからず、美咲町発足直後に1万7000人程度あった人口は、1万4000人程度にまで減少し、高齢化率も一層高まりました。また、約25年後の2045年には、町全体の人口が8000人を割り込むと予測されています。

このような状況から分かるとおり、本町の最重要課題は、少子高齢化、過疎化、そして人口減少の克服であります。私は、この危機的とも言える問題に立ち向かうため、果敢に取り組んでまいります。

 

(地域づくり)

 人口減少に立ち向かうためには、まず、「人」の力と「絆」の深さを活かした、いわゆる「地域力」の強化が必要であります。私は、「人 輝くまち みさき」という考えの下に、地域が主役のまちづくり、課題を自ら克服していくための仕組みを整えていくため、現在の自治会と旧村単位で13の地域に組織されている「協働のまちづくり協議会」をさらに充実強化した、いわゆる「小規模多機能自治」と呼ばれる自治組織づくりを進めていきます。

この、「小規模多機能自治」については、先月16日に自治会長協議会の皆さんと一緒に先進地の島根県雲南市を訪れ、実態を視察させていただいたところです。同地は、本町と同じく中山間地域特有の課題を抱えていますが、各地域で住民同士が互いに支えあい、創意工夫を凝らしながら地域の課題解決に主体的に取り組んでいる姿が見られました。私は、この視察を通じ、やはり自治の原点は地域内のことを「自ら考え 決定し 実行する」ことにある、との思いを新たにしたところであります。

このような取組を本町において進めようとするとき、奉仕と支え合いの精神を持った素晴らしい町民性は、何よりの財産です。

美咲町では年間を通じ、朝早くから地域や神社仏閣などで清掃などの共同作業が見られ、私たちは四季を通じたまつりや伝統行事、自治会活動などを通じ、コミュニティーを育んできました。また、町民の皆さんによる精力的な交通安全や防犯活動の結果、美咲警察署管内で2年間以上交通死亡事故がなく、犯罪発生件数も少ない「安全」なまちが実現されています。このような「人」の力と「絆」の深さは都市部にはないものです。

美咲町の誇るべきこの「人」の力と「絆」の深さを活かし、例えば、一人暮らしの御高齢の方の見守りを地域ぐるみで行っていただく。こういった活動を通じ、地域住民が互いに支え合い、また地域と町が共に手を携え、地域の活力を生み出していく。これが私の理想とする新しいまちづくりの姿です。この取組を一歩前に進めるため、まずは、私自身が13の各地域に出向き、町民の皆さんと各地域、そして町の将来について率直に語り合いたいと思います。

空き家、耕作放棄地、鳥獣被害、介護問題、防災対応 ー 各地域には一朝一夕には解決できない様々な課題があります。しかし、こうした課題を「地域力」により一つひとつ解決し、子どもから御高齢の方まで安全で健康に暮らせる豊かな地域を、皆さん、共に創り上げていこうではありませんか。

 

(教育改革)

続いて、「地域力」を高めていくためには、次代を担う子ども達に質の高い教育を行い、自らの未来を切り開いていくことのできる力をつけさせることが重要です。しかし、今年度の学力・学習状況調査の結果によれば、本町の小中学生の学力は、全国でも下位に位置する岡山県の中でもさらに下位に低迷しており、学力向上のための取組が急務です。教育関係者等の英知を結集し、町民の皆さんから信頼され安心していただける教育を目指します。

具体的には、退職した教職員や地域の方々、民間のプロの方の力を借り、放課後を利用した学びの場を増やし、充実させます。また、ここでは、国語や算数、英語といった教科学習のみならず、スポーツ、文化、芸術といった分野の講座も提供し、いわば「21世紀型の寺子屋」を目指します。この事業により、課題である基礎学力を向上させるとともに、知・徳・体をバランス良く備えた「21世紀を生き抜く力」を身に着けた子ども達を本町から育てていきます。

少子高齢化の目立つ本町にとって、子ども達一人ひとりがまさに地域の宝です。この宝を大切に守り、そして強く育てていくことは、私たち大人に課せられた義務であります。保護者、地域の皆さんにおかれましても、お力添えをいただきますようお願い申し上げます。

 

(公共施設管理)

人口減少に伴い、収入の減少が想定される中、これからの町政は住民の皆さんにとって甘いことばかり言い続ける町政運営はできません。町民や議会の中で議論が分かれ、不便や痛みを強いる提案もしていかなければなりません。

その一つが老朽化した公共施設の廃止・縮小など、公共施設の再配置問題です。平成28年に策定した「美咲町公共施設等総合管理計画」では、「平成58年度までの30年間に、建設系公共施設を42%削減する」という目標が掲げられています。この目標を達成するため、既に老朽化の目立つものや遊休化しているものについては、順次除却していきます。

しかし、ただ単純に人口規模に合わせて小さくするしていくつもりはありません。地域課題の解決に役立てるような真に必要な施設については、集約複合化、機能性向上、長寿命化によってコストダウンを図りつつ効率的に整備していきます。

個別の施設の取扱いについては、今後、施設の状況を調査した上で、議会や町民の皆さんに具体的な方針をお示しする予定ですが、特に

(1)老朽化が激しく、災害の危険性の高い柵原中学校、

(2)耐震化工事が未施工の旭総合支所、

(3)老朽化、狭隘化の進む本庁舎

については、人口減少のスピードや平成36年度末に迎える合併特例債の発行期限を検討すると、丁寧な議論を行いつつも、可及的早くに成案を得る必要があります。

現時点での私の個人的な考えは、

(1)柵原中学校につきましては、義務教育学校の検討、小中一貫校の在り方などを研究の上、早期に適地の選定、建替え

(2)旭総合支所につきましては、現地において建替えを行い、地域の拠点となるよう可能な限り機能を複合化

(3)本庁舎につきましては、本庁舎、亀甲駅、亀甲商店街、中央中学校、中央運動公園などを含めたエリア一帯のグランドデザインの中で検討する

というものです。

昨年来、公共施設の整備方針を巡り町政に混乱を来してきたことは事実です。しかし、本町の将来に考えを巡らせるとき、立ち止まっている時間はもはや残されていません。「結果を出していくこと」、それが私を含め、本日、町民から負託を受け議場に集まっていらっしゃる皆さんに課せられた使命であると考えます。議員各位、そして町民の皆さんの御理解と御協力を切に求めてやみません。

 

(庁内改革)

先に述べたような課題の解決を強力に推進していくためには、庁内改革が必要不可欠です。今回の町長選において、町民の皆さんからは「もう少し役場をしっかりさせてほしい」という意見を数多くいただきました。あいさつ、服装、勤務態度、言葉づかいといった基本的なことから、要望や困りごとに対する返事がないといったものまで、様々な御指摘をいただきました。

こうした御指摘は真摯に受け止めなければなりませんが、職員と町民の皆さんとのコミュニケーション不足や職員の仕事が伝わっていないという面もあろうかと思います。

1万4000人規模のまちで役場は最大の組織であり、まちづくりの核であります。その役場次第でまちは大きく変わっていきます。

先ほど御紹介した「宿命に生まれ 運命に挑み 使命に燃える」という言葉は、プロの行政職員として町民から給料をいただき、町民の生命と財産を守っている職員一人ひとりにも当然当てはまることです。

職員がその使命と責任を深く受け止め、積極的に地域に出向いていくことなど、まずは役場が変わったと感じていただけるよう努めてまいります。

さらに通常の業務はもちろんですが、職員が「町民の幸せのために自ら学び、考え、そして行動する」役場づくりを目指します。町の課題を克服し、未来を切り開くための政策をつくり、その実行のために私自身も積極的に国や県に足を運んでまいります。

そのような思いを実行するため、庁内の機構改革に着手し、新年度をメドに各課の再編を行うとともに、Ictの活用により業務の効率化図り、必要なリソースの確保を図ります。

 

(終わりに)

さて、美咲町の人口は1万4300人。例え話になりますが、これは日本武道館で格闘技をする際の収容人数とほぼ同じであり、東京ドームの3分の1程度であります。せっかくの縁で同じ時代に生き、同じ地域で生活をしているわけですから、それぞれが美咲町の未来に向かって進んでいかなくてはなりません。

その過程では意見がぶつかり、衝突することもあるかもしれませんが、英知を結集し、議論を経た上で、みんなで決めたことを進めていくのが民主主義の基本であります。単なる感情のもつれで、いがみ合っている場合ではありませんし、嘆いてばかりいても、愚痴を言い合っていても何一つ地域の未来は開けません。

私たちの子や孫の世代が大人になった頃、何をしていたんだと言われたり、指を指されたりすることのないようなまちを築いていくことが、今日の地域を築かれた先人や美咲町の合併に尽力いただいた先輩方に対する責務であります。

町政に対しては様々な意見があり、それは当然のことでありますが、美咲町をよりよくしていこうという、良いまちにしていこうーという思いは町民全体に共通した願いです。その目的に向けて、町民1万4300人が力を合わせれば必ずより良いまちが築けるはずであります。

この町に生まれ、育った子どもたちが美咲町に生まれて良かったと感じ、また美咲町で暮らす方々が幸せを実感するまちこそ、私の目指す美咲町であります。

終わりに、打穴西の地区誌に、かつて打穴農協組合長を務められた故小島鉄太郎さんが「後生へのメッセージ」として残された一文を紹介します。

「私たちの先輩がそうしてきたように、行政のお金をあてにせず、自立した大字運営をしてゆくべきだと思う。困難はあると思うが、いつの時代にも困難はあり、時々の困難を切り開いていってのみ、時代の光に浴することが可能になると思うからである。」

今まさにこうした精神で、私は町民、議会の皆さんや職員とともに、新しい美咲町づくりのスタートを切りたいと思います。どうぞ、そのために建設的な議論を交わし、御協力と御指導を賜りますようお願いいたします。

今回の議会につきましては年度途中ということもあり、政策として議案への反映は行っていませんが、現在編成中の平成31年度当初予算案には幹部職員と相談しながら反映していくつもりでありますので、その節にはよろしくお願い申し上げます。

 

 


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