○美咲町職員のパワー・ハラスメントに関する苦情相談に対応するに当たり留意すべき事項についての指針

令和2年5月22日

訓令第35号

第1 基本的な心構え

職員からの苦情相談に対応するに当たっては、相談員は次の事項に留意する必要がある。

1 被害者を含む当事者にとって適切かつ効果的な対応は何かという視点を常に持つこと。

2 事態を悪化させないために、迅速な対応を心掛けること。

3 関係者のプライバシーや名誉その他の人権を尊重するとともに、知り得た秘密を厳守すること。

第2 苦情相談の事務の進め方

1 苦情相談を受ける際の相談員の体制等

(1) 苦情相談を受ける際には、原則として2人の相談員で対応すること。

(2) 苦情相談を受けるに当たっては、苦情相談を行う職員(以下「相談者」という。)の希望する性の相談員が同席するよう努めること。

(3) 相談員は、苦情相談に適切に対応するために、相互に連携し、協力すること。

(4) 実際に苦情相談を受けるに当たっては、その内容を相談員以外の者に見聞されないよう周りから遮断した場所で行うこと。

(5) 行為者とされる者又は第三者からの聴取を行う場合は、相談者の了解を確実に得た上で総務課と連携して対応すること。

2 相談者から事実関係等を聴取するに当たり留意すべき事項

相談者から事実関係等を聴取するに当たっては、次の事項に留意する必要がある。

(1) 相談者の求めるものを把握すること。

将来の言動の抑止等、今後も発生が見込まれる言動への対応を求めるものであるのか、又は喪失した利益の回復、謝罪要求等過去にあった言動に対する対応を求めるものであるのかについて把握する。

(2) どの程度の緊急性があるのかについて把握すること。

相談者の心身の状態等に鑑み、苦情相談への対応に当たりどの程度の緊急性があるのかを把握する。

(3) 相談者の主張等に真摯に耳を傾け丁寧に話を聴くこと。

特に相談者が被害者の場合、パワー・ハラスメントを受けた心理的な影響から必ずしも理路整然と話すとは限らない。むしろ脱線することも十分想定されるが、事実関係を把握することは極めて重要であるので、忍耐強く聴くよう努める。また、相談員自身の評価を差し挟むことはせず、相談者の心情に配慮し、その主張等を丁寧に聴き、相談者が認識する事実関係を把握することが必要である。

(4) 事実関係については、次の事項を把握すること。

ア 当事者(パワー・ハラスメントの被害者及び行為者とされる者)間の関係

イ 問題とされる言動が、いつ、どこで、どのように行われたか。

ウ 相談者は、行為者とされる者に対してどのような対応をとったか。

エ 管理又は監督の地位にある職員等に対する相談を行っているか。

なお、これらの事実を確認する場合、相談者が主張する内容については、当事者のみが知り得るものか、又は他に目撃者はいるのかを把握する。

(5) 聴取した事実関係等を相談者に確認すること。

聞き間違えの修正並びに聞き漏らした事項及び言い忘れた事項の補充ができるので、聴取事項を書面で示したり、復唱したりするなどして相談者に確認する。

(6) 聴取した事実関係等については、必ず記録して保存しておくとともに、当該記録を厳重に管理すること。

3 行為者とされる者からの事実関係等の聴取

(1) 原則として、行為者とされる者から事実関係等を聴取する必要がある。

ただし、パワー・ハラスメントが比較的軽微なもの又は行為者とされる者に改善の余地があるもののパワー・ハラスメントとまではいえないようなものであり、対応に緊急性がない場合などは、管理又は監督の地位にある職員の観察又は指導による対応が適当な場合も考えられるので、その都度適切な方法を選択して対応する。

(2) 行為者とされる者から事実関係等を聴取する場合には、行為者とされる者に対して十分な弁明の機会を与える。

(3) 行為者とされる者から事実関係等を聴取するに当たっては、その主張に真摯に耳を傾け丁寧に話を聴く、聴取した事実関係等を行為者とされる者に確認するなど、相談者から事実関係等を聴取する際の留意事項を参考にし、適切に対応する。

4 第三者からの事実関係等の聴取

パワー・ハラスメントについて当事者間で事実関係に関する主張に不一致があり、事実の確認が十分にできないと認められる場合などは、第三者から事実関係等を聴取することも必要である。

この場合、相談者から事実関係等を聴取する際の留意事項を参考にし、適切に対応する。

5 相談者に対する説明

苦情相談に関し、具体的にとられた対応については、相談者に説明する。

第3 問題処理のための対応の在り方

1 基本的事項

相談員が、苦情相談に対応するに当たっては、第2の第2項を踏まえ、相談者からの話を丁寧に聴きながら適切に対処していく必要がある。また、対応に当たって、相談員が相談者に対しパワー・ハラスメントに該当するかどうかに関する心証を伝えてはならない。

2 事案に応じた対処

対応に当たっては、パワー・ハラスメントに該当する蓋然性の程度に応じて次のような対処が考えられる。

(1) 相談者の話が事実であれば明らかにパワー・ハラスメントに該当すると思料される事案

相談者の了解を得て、速やかに事案を総務課に知らせる必要がある。

総務課又は相談者の意向によっては、相談員も事実関係等の聴取の実施等に引き続き協力する。なお、相談者が総務課に知らせることを望んでいない場合でも、相談者が自傷行為に及ぶ可能性がある場場合、深刻な状況にあるとうかがわれる場合など、緊急性が高いと考えられる場合には、相談者自身は総務課に知らせることを望んでいない旨も含めて、総務課に連絡する必要がある。

(2) 相談者の話の内容が事実であるとしてもパワー・ハラスメントに該当するかどうか判断が難しい事案

(注) 以下の対処は、相談者がこれらの対処を行うことを希望していることが前提であり、相談者の意向を確認せずに相談員限りの判断で行ってはならない。

ア 当事者双方の主張を公平かつ丁寧に聴き、隔たりを埋める。

(例)

総務課と連携して、行為者とされる者からの事実関係等の聴取及びそれを踏まえた相談者からの事実関係等の聴取を実施する(必要があればそれぞれ複数回実施する。)。その際、過去の事実関係を確認していずれの言い分が正しいのかを判定することを目指すのではなく、双方の主張を聴いて、認識の隔たりを埋めつつ、将来に向けて双方がとるべき対応について共通認識に到達することを目指す。

イ 第三者からの事実関係等の聴取を実施し、その結果を踏まえ、総務課としての判断を示す。

(例)

アの対応を行っても当事者双方が共通認識に到達することが困難な場合には、第三者からの事実関係等の聴取を実施して、事実関係を明らかにした上で、総務課としての判断を示し、必要な措置を行う。この段階においては、事案への対応は相談員から総務課に完全に移行していることが多いと考えられるが、総務課又は相談者の意向によっては、相談員も事実関係等の聴取の実施等に引き続き協力する。

(3) 相談者の話が事実であるとしても明らかにパワー・ハラスメントには該当しないと思料される事案

相談者の話の内容からすれば、明らかにパワー・ハラスメントには該当しないと思料される場合であっても、相談者が組織的対応を求めているときには、相談者の了解を得て、事案を総務課に知らせる必要がある。一方、相談者が、相談員限りでの対処や相談員からのアドバイスを望んでいる場合には、業務遂行やコミュニケーションの在り方の見直しなどによる解決を助言することも考えられる。

この訓令は、令和2年6月1日から施行する。

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令和2年5月22日 訓令第35号

(令和2年6月1日施行)

体系情報
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沿革情報
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